なぜレインジャケットが必要なの?傘だけじゃダメ?
雨の日って、なんだか気分もどんよりしがちですよね。濡れるのが嫌で外出が億劫になったり、お気に入りの服が汚れてしまったり…。多くの人が雨の日の移動には傘を使いますが、実は「レインジャケット」という選択肢を持つことで、雨の日の快適さは劇的に変わるかもしれません。
「でも、傘があれば十分じゃない?」と思う方もいるでしょう。確かに、ちょっとした雨なら傘で事足ります。でも、こんな経験はありませんか?
- 風が強くて傘が煽られ、結局びしょ濡れになってしまった…。
- 片手が傘でふさがり、荷物が多い日や、子どもと手をつなぎたい時に不便を感じた。
- 自転車に乗っていると、傘を差すわけにもいかず、どうしようもなかった。
- アウトドアやスポーツ観戦で、傘を差すと周りの人の邪魔になってしまう…。
レインジャケットは、そんな傘の弱点をカバーしてくれる頼もしいアイテムです。両手が自由に使えるため、通勤ラッシュの電車内で荷物を持ったり、スマホを操作したりするのも楽になります。風が強い日でも、体にフィットしたレインジャケットなら煽られる心配も少なく、安全に移動できます。
また、その活躍の場は雨の日だけにとどまりません。肌寒い日のウインドブレーカーとして、また、登山やキャンプ、フェスといったアウトドアシーンでは、天候の急変に備える必須アイテムとして重宝します。つまり、レインジャケットは単なる「雨具」ではなく、日々の生活から趣味の時間まで、様々なシーンで私たちの活動をサポートしてくれる多機能ウェアなのです。
この記事では、特定の商品をおすすめするのではなく、レインジャケットというアイテムそのものの魅力や、自分に合った一着を見つけるための「選び方の軸」を、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたもきっと、雨の日が少し楽しみになっているはずですよ。
これだけは知っておきたい!レインジャケットの基本の「き」
レインジャケットを選ぶ上で、避けては通れないのが専門用語の数々。「耐水圧」や「透湿性」といった言葉を聞いただけで、なんだか難しそう…と感じてしまうかもしれません。でも大丈夫です!ここでは、レインジャケットの性能を理解するための3つのキーワード、「防水性」「透湿性」「撥水性」について、できるだけ噛み砕いてご説明します。この3つを理解するだけで、製品のスペック表が格段に読みやすくなりますよ。
「防水性」ってどういうこと?耐水圧をチェックしよう
まず一番大切なのが「防水性」。これは、生地がどれくらいの水の圧力に耐えられるかを示す性能のことです。この防水性の高さを表す数値が「耐水圧」で、「mm」という単位で表記されます。
例えば、耐水圧10,000mmというのは、生地の上に内径1cmの筒を立て、その中に水を入れていったときに、高さ10,000mm(つまり10m)の水圧に耐えられる、という意味です。数値が大きければ大きいほど、強い雨にも耐えられる高性能な生地ということになります。
では、具体的にどれくらいの耐水圧があれば安心なのでしょうか。一般的な目安をシーン別に見てみましょう。
| 耐水圧の目安 | 対応できる雨の強さ | 主な利用シーン |
| 500mm程度 | 小雨 | 傘を併用する前提の軽い雨よけ |
| 5,000mm程度 | 小雨〜普通の雨 | 短時間の通勤・通学、街での普段使い |
| 10,000mm程度 | 普通の雨〜大雨 | 長時間のサイクリング、日帰りのハイキング、野外フェス |
| 20,000mm以上 | 大雨〜嵐 | 本格的な登山、豪雨の中での作業など |
一般的な傘の耐水圧が250mm〜500mm程度と言われているので、レインジャケットがいかに高い防水性を持っているかが分かりますね。小雨をしのぐ程度なら5,000mmもあれば十分ですが、自転車に乗ったり、ハイキングに行ったりと、少しアクティブなシーンで使うことを想定するなら、10,000mm以上あると安心感が高いです。
ただし、耐水圧が高ければ高いほど良い、というわけでもありません。一般的に、性能が高い生地は価格も高くなる傾向にありますし、生地が厚く、少しゴワゴワとした着心地になることもあります。自分の主な利用シーンを思い浮かべて、オーバースペックにならない、適切な耐水圧の一着を選ぶことが賢い選択と言えるでしょう。
「透湿性」でムレを解消!快適さの鍵はここにある
レインジャケットを着ていて、「雨は防げるけど、内側が汗でびっしょり…」という経験をしたことはありませんか?この不快な「ムレ」を解消してくれるのが「透湿性」という性能です。
透湿性とは、衣服の内部の湿気(水蒸気)を、生地を通して外に逃がす能力のこと。単位は「g/m²/24h」で表記され、これは「24時間で、1平方メートルあたり何グラムの水分を外に排出できるか」を示しています。この数値が大きいほど、ムレにくい、快適なジャケットということになります。
人間は、じっとしているだけでも1時間に約50g、軽い運動で約500g、激しい運動になると1時間に1,000g以上の汗(水蒸気)をかくと言われています。この汗を外に逃がせないと、ジャケットの内側で結露してしまい、まるで濡れたかのような不快感につながるのです。これを「濡れ戻り」と呼びます。
透湿性の目安も、利用シーンによって異なります。
| 透湿性の目安 | 主な利用シーン |
| 5,000g/m²/24h以上 | 普段使い、軽いウォーキングなど、あまり汗をかかないシーン |
| 10,000g/m²/24h以上 | サイクリング、ハイキング、ゴルフなど、少し汗をかくアクティビティ |
| 20,000g/m²/24h以上 | ランニング、本格的な登山など、大量に汗をかく激しい運動 |
駅まで歩くだけの通勤や、街でのお買い物といったシーンなら、5,000gもあれば十分快適に過ごせるでしょう。しかし、自転車通勤やランニング、登山など、体を動かすことが前提の場合は、10,000g以上の透湿性があると、汗による不快感を大きく軽減できます。
防水性と同じく、透湿性も高ければ高いほど価格が上がる傾向にあります。「防水性」と「透湿性」。この2つのバランスを考え、自分の使い方に合ったスペックを見つけることが、レインジャケット選びの最初の、そして最も重要なステップです。
「撥水性」と「防水性」は違うもの?
最後に、よく「防水性」と混同されがちな「撥水性」についてです。この二つは、実は全く異なる性能です。
- 防水性:生地の「裏側」に水を浸透させない性能。生地そのものの能力。
- 撥水性:生地の「表面」で水を玉のように弾く性能。生地表面の加工によるもの。
お店で新品のレインジャケットに霧吹きをかけると、水がコロコロと転がり落ちますよね。あれが撥水性の効果です。撥水加工は、生地の表面に微細な凹凸やコーティングを施すことで、水が生地に付着するのを防いでいます。
「じゃあ、撥水性だけあればいいの?」と思うかもしれませんが、そうではありません。撥水加工は、あくまで表面で水を弾くだけ。強い雨に長時間さらされたり、圧力がかかったりすると、弾ききれなかった水が生地に染み込もうとします。その最後の砦となるのが「防水性」なのです。
そして、ここが重要なポイントなのですが、撥水性が低下すると、防水透湿素材の性能も著しく落ちてしまうのです。なぜなら、生地の表面がべったりと水で覆われてしまうと、水蒸気の逃げ道が塞がれ、自慢の「透湿性」が機能しなくなってしまうからです。内側からムレてきて、「あれ?水が漏れてきたのかな?」と感じる原因の多くは、実はこの撥水性の低下によるものなのです。
撥水性は、着用による摩擦や、皮脂・汚れの付着によって、徐々に失われていきます。そのため、レインジャケットの性能を維持するためには、後述する定期的な洗濯やメンテナンスが不可欠になります。「撥水性は消耗品であり、お手入れで回復させるもの」と覚えておきましょう。
素材で変わる着心地と機能性!自分に合うのはどれ?
レインジャケットの心臓部とも言えるのが、雨を防ぎつつ湿気は逃がす「防水透湿素材」です。この素材の構造や種類によって、着心地、耐久性、そして価格が大きく変わってきます。ここでは、少しマニアックに聞こえるかもしれませんが、知っておくと選ぶ際の解像度がグッと上がる「レイヤー構造」と「生地の種類」について深掘りしていきましょう。
代表的な防水透湿素材の世界
多くの防水透湿素材は、「メンブレン」と呼ばれる、目に見えないほど小さな穴が無数に開いた特殊なフィルム(膜)を利用しています。この穴は、雨粒よりはるかに小さいけれど、水蒸気の分子よりは大きいという絶妙なサイズに設計されています。これにより、「外からの雨(液体)は通さず、内側からの湿気(気体)は通す」という、一見矛盾した機能を実現しているのです。
このデリケートなメンブレンを保護し、製品として機能させるために、表地や裏地と貼り合わせて作られます。その貼り合わせ方の違いが「レイヤー(層)構造」の違いとなって現れます。
2レイヤー(2層)構造
2レイヤーは、「表地」と「防水透湿メンブレン」の2枚を貼り合わせた構造です。メンブレンがむき出しだと傷ついてしまうため、ジャケットの内側にはメッシュや布の裏地が別途取り付けられています。普段使いのレインコートや、比較的安価なモデルによく見られます。
- メリット:裏地があるため肌触りが良く、しなやかで着やすい。価格も手頃なものが多い。
- デメリット:裏地がある分、少し重く、かさばる傾向がある。表地と裏地の間に空間ができるため、乾きにくい場合も。
2.5レイヤー(2.5層)構造
2.5レイヤーは、「表地」と「防水透湿メンブレン」を貼り合わせ、裏地の代わりにメンブレンを保護するための特殊なプリントやコーティングを施した構造です。この保護プリントが「0.5層」と数えられます。軽量・コンパクトさを重視するモデルに多く採用されています。
- メリット:とにかく軽くてコンパクト。畳んでバッグに入れても邪魔になりにくい。登山やランニングでの携行用に人気。
- デメリット:裏地がないため、汗をかくと肌にペタッと張り付くような感覚があることも。耐久性は3レイヤーに劣る。
3レイヤー(3層)構造
3レイヤーは、「表地」「防水透湿メンブレン」「裏地」の3枚を圧着して一枚の生地にした構造です。裏地も一体化しているため、生地にハリがあり、非常に丈夫です。本格的なアウトドアジャケットの多くがこの構造を採用しています。
- メリット:耐久性が非常に高い。生地がしっかりしているので、風雨に強く、安心感がある。汗をかいてもサラリとした着心地をキープしやすい。
- デメリット:価格が高価になる。生地が硬めでゴワゴワとした着心地に感じられることもある。
どのレイヤー構造が優れている、というわけではありません。それぞれの特徴をまとめた以下の表を参考に、ご自身の使い方に最適なものを選んでみてください。
| 構造 | 特徴 | メリット | デメリット | おすすめのシーン |
| 2レイヤー | 表地+メンブレン。裏地は別。 | しなやか、安価 | 重い、かさばる | タウンユース、軽い雨よけ |
| 2.5レイヤー | 表地+メンブレン+保護プリント | 軽量、コンパクト | 肌触り、耐久性 | 登山・ランニングの携行用、旅行 |
| 3レイヤー | 表地+メンブレン+裏地を一体化 | 高耐久、高性能 | 高価、硬め | 本格的な登山、悪天候での活動 |
生地の種類も見てみよう
ジャケットの表地に使われる素材も、着心地や性能に影響を与えます。主に使われるのは「ナイロン」と「ポリエステル」です。
- ナイロン:摩擦や引き裂きに強く、耐久性が高いのが特徴です。そのため、バックパックを背負う登山や、岩場などで擦れる可能性のあるアウトドアアクティビティ向けのジャケットに多く使われます。少し硬めの質感のものが多いです。
- ポリエステル:しなやかで柔らかく、シワになりにくいのが特徴です。染色性も高いため、デザインやカラーバリエーションが豊富。タウンユース向けのレインジャケットや、ファッション性を重視したモデルによく採用されています。
また、生地の厚さや丈夫さを示す指標として「デニール(D)」という単位が使われることもあります。これは糸の太さを表す単位で、数値が大きいほど太い糸を使っており、生地が厚く、丈夫になります。例えば、軽量性を重視したジャケットは20D〜40D、ハードな使用を想定したジャケットでは70D以上の生地が使われることがあります。これも一つの選択基準として覚えておくと便利です。
後悔しないためのチェックポイント!ここを見れば大丈夫
レインジャケットの基本的な性能や素材について理解が深まったところで、いよいよ実践的な選び方のポイントを見ていきましょう。どんなに高性能なジャケットでも、自分の使い方や体型に合っていなければ宝の持ち腐れです。ここでは、購入してから「しまった!」と後悔しないための、具体的なチェックポイントを解説します。
利用シーンを具体的にイメージしよう
まずは、あなたがそのレインジャケットを「いつ、どこで、どのように」使うのかを、できるだけ具体的に想像してみましょう。これが一番の基本であり、最も重要なことです。シーンによって、重視すべきポイントは大きく異なります。
通勤・通学・普段使い
毎日のように使う可能性があるので、デザイン性や着脱のしやすさが重要になります。スーツや制服の上から羽織るなら、ジャケットの裾が隠れる少し長めの着丈で、肩周りや腕にゆとりのあるサイズを選ぶと良いでしょう。いかにも「雨具」という感じではない、街に溶け込むデザインのものを選ぶと、晴れた日のアウターとしても着回しがききます。
サイクリング・バイク
自転車に乗る際は、前傾姿勢になることを考慮した設計がされているかがポイントです。具体的には、背中側が長めになっている「ドロップテール」と呼ばれるデザインだと、腰が出てしまうのを防げます。また、走行中にフードが風で脱げたり、ばたついたりしないよう、フードのフィット感を調整できる機能は必須です。安全性のため、車からの視認性が高い、明るい色のジャケットを選ぶのも良い考えです。
登山・ハイキング
山の天気は変わりやすいため、高い防水透湿性と耐久性が何よりも求められます。レイヤー構造で言えば、やはり3レイヤーが心強いでしょう。また、バックパックを背負うことを想定し、ウエストベルトやチェストストラップと干渉しない位置にポケットがあるかを確認しましょう。腕の上げ下げや足の動きを妨げない「立体裁断」が施されていると、長時間の行動でも疲れにくくなります。
ランニング・ウォーキング
動きやすさと汗処理が最優先なので、軽量性と高い透湿性を重視します。ごわつかず、体の動きに追従するストレッチ性のある生地だとさらに快適です。走り終わった後や、雨が止んだ時にコンパクトに収納できるパッカブル機能があると非常に便利です。
フェス・キャンプ・釣り
これらのシーンでは、機能性に加えてデザイン性や、ある程度のタフさも欲しいところ。急な雨に対応できる防水性は基本として、焚き火の近くで使うなら、火の粉に強い素材(難燃性素材など)を選んだり、小物をたくさん収納できる大きめのポケットが付いていたりすると便利です。自分らしいスタイルを楽しめる、お気に入りのカラーやデザインを選びましょう。
サイズ感は「少しゆとり」が基本
レインジャケットのサイズ選びは、普段の洋服とは少し考え方が異なります。基本は「ジャストサイズよりも、少しゆとりのあるサイズ」を選ぶことです。
なぜなら、レインジャケットはアウター、つまり一番外側に着るものだからです。特に肌寒い季節には、中にフリースや薄手のダウンなどを着込む(=レイヤリングする)ことを想定しなければなりません。ぴったりサイズを選んでしまうと、中に着込んだ際にパツパツになってしまい、動きにくくなるだけでなく、生地が伸びて防水性能が低下する原因にもなりかねません。
お店で試着する際は、普段着ている服の上から、可能であれば少し厚手の服の上から羽織ってみましょう。そして、以下の動作を試してみてください。
- 両腕をぐるぐる回したり、高く上げたりする。→肩や脇がつっぱらないか?
- しゃがんでみる。→背中や腰が出ないか?
- 前かがみになってみる。→窮屈に感じないか?
袖丈は、腕を前に伸ばしたときに手首がしっかりと隠れるくらいの長さが理想です。短いと、雨が手袋やインナーの袖口から侵入してきてしまいます。着丈は、お尻が半分隠れるくらいを目安にすると、屈んだ時にも安心です。
細かい機能(ディテール)にも注目!
ジャケットの全体的な性能やサイズ感はもちろん重要ですが、快適性を左右するのは、実は細かな部分の作り込みだったりします。見逃しがちな「ディテール」にも注目してみましょう。
フード
フードは顔を雨から守る重要なパーツです。チェックすべきはフィット感と視界。ドローコード(引き紐)などで頭の形に合わせてフィット感を調整できるか、フードを被った状態で左右を向いたときに、フードが一緒に付いてきて視界を妨げないかを確認しましょう。ヘルメットを着用するシーン(登山や自転車など)で使う場合は、ヘルメットの上からでも被れる大きめのフード(ヘルメット対応フード)が必要になります。
ファスナー
ジャケットの前面やポケットに使われるファスナーは、雨の侵入経路になりやすい部分です。「止水ファスナー」という、ファスナーのテープ部分がラミネート加工されたタイプが使われていると、防水性が高まります。あるいは、通常のファスナーの外側に、雨の侵入を防ぐためのフラップ(前立て)が付いているかを確認しましょう。実際に開け閉めしてみて、スムーズに動くかも大切なポイントです。
ポケット
ポケットの位置、数、大きさは、利便性に直結します。前述の通り、登山で使うならバックパックのベルトに干渉しない胸ポケットが便利ですし、街で使うなら手を入れやすい腰の位置にあると良いでしょう。スマートフォンや財布など、濡らしたくないものを入れるポケットには、止水ファスナーやフラップが付いていると安心です。
袖口
袖口からの雨の侵入を防ぐため、フィット感を調整できる機能は必須です。ベルクロ(マジックテープ)やスナップボタンで、手首の太さに合わせてぴったりと締められるかを確認しましょう。ゴムで絞られているだけのタイプよりも、細かく調整できるベルクロの方が、より高い防水効果が期待できます。
裾
ジャケットの裾には、下からの風や雨の吹き込みを防ぐために、ドローコードが付いているのが一般的です。このコードを引っ張ることで裾を絞り、体にフィットさせることができます。特に風の強い日には、この機能があるかないかで体感温度が大きく変わってきます。
ベンチレーション
これは、ジャケットの快適性を劇的に向上させる、ぜひ注目してほしい機能です。脇の下や背中など、熱がこもりやすい部分に設けられた、換気のためのファスナーのことを「ベンチレーション」と呼びます。ジャケットを着たままこれを開けることで、内部の熱や湿気を一気に外に逃がすことができます。透湿性だけでは追いつかないほど汗をかくアクティビティや、暑い時期の雨の日には、この機能が非常に役立ちます。
大切な一着を長持ちさせる!正しいお手入れと保管方法
お気に入りのレインジャケットを見つけたら、できるだけ長く、その性能を保ったまま使いたいですよね。実は、レインジャケットは「洗いすぎると性能が落ちる」と思われがちですが、それは大きな誤解です。むしろ、適切なメンテナンスをしないことこそが、性能低下の最大の原因なのです。ここでは、大切な一着を長持ちさせるための、正しいお手入れと保管方法をご紹介します。
実は洗濯が重要!撥水性を復活させる洗い方
「え、レインジャケットって洗っていいの?」と驚かれるかもしれませんが、答えは「イエス」です。むしろ、定期的に洗濯することが、性能を維持するために非常に重要です。
なぜなら、着用によって付着する皮脂、汗、泥などの汚れは、撥水性の効果を妨げる膜となってしまうからです。さらに、これらの汚れは防水透湿メンブレンの微細な孔を詰まらせ、透湿性を著しく低下させる原因にもなります。「最近、水を弾かなくなったな」「なんだかムレやすくなったな」と感じたら、それは洗濯のサインです。
ご家庭で洗濯する際の基本的な手順を見ていきましょう。
- 洗濯表示の確認:まずは、ジャケットの内側についている洗濯表示タグを必ず確認します。桶のマークに書かれた数字は液温の上限、手のマークがあれば手洗いが推奨されています。この表示に必ず従ってください。
- 準備:泥などのひどい汚れは、乾いた状態でブラシなどを使って軽く落としておきます。そして、全てのファスナー、ポケット、ベルクロをしっかりと閉じます。これは、洗濯中に生地を傷めたり、他の衣類と絡まったりするのを防ぐためです。
- 洗剤を選ぶ:レインウェア専用の洗剤を使うのが最も望ましいです。もしなければ、一般的な家庭用の中性洗剤でも代用できます。ただし、柔軟剤、漂白剤、蛍光増白剤入りの洗剤は絶対に使用しないでください。これらの成分は撥水基を倒してしまったり、生地表面に残留して撥水性を損なったり、メンブレンを傷めたりする原因になります。
- 洗濯:ジャケットを洗濯ネットに入れ、洗濯機の「手洗いコース」「おしゃれ着コース」「弱水流コース」など、できるだけ優しい水流で洗います。汚れがひどい場合は、ぬるま湯で優しく押し洗いするのも良い方法です。
- すすぎ:洗剤成分が生地に残らないよう、すすぎは念入りに行いましょう。洗濯機の設定で「注水すすぎ」が選べるならそちらを選んだり、すすぎの回数を増やしたりするのがおすすめです。洗剤残りも、性能低下の大きな原因になります。
乾燥と熱処理で撥水効果がよみがえる!?
洗濯が終わったら、次は乾燥です。ここにも、性能を復活させるための重要なポイントが隠されています。
まずは、風通しの良い日陰で吊り干しするのが基本です。直射日光は生地を傷める原因になるので避けましょう。そして、ジャケットが完全に乾いたら、「熱処理」を行います。実は、多くの撥水加工は、熱を加えることでその機能が回復するようにできています。生地の表面で寝てしまった撥水基を、熱の力で再び立たせてあげるイメージです。
熱処理の方法は、主に2つあります。行う前には、必ず洗濯表示で乾燥機やアイロンの使用が可能かを確認してください。
- 乾燥機を使う方法:洗濯表示で許可されていれば、乾燥機で低温(50〜60℃)に設定し、10〜20分ほど温めます。これが最も簡単でムラなく熱を加えられる方法です。
- アイロンを使う方法:アイロンがけが可能な表示であれば、低温・ドライ設定にし、必ず当て布をした上で、優しくアイロンをかけます。スチームは使わないでください。ファスナーや圧着部分など、熱に弱いパーツは避けましょう。
この一手間を加えるだけで、新品の頃のような水弾きが戻ってくることも少なくありません。ぜひ試してみてください。
撥水性が戻らないときは?撥水剤を使ってみよう
洗濯と熱処理を行っても撥水性が回復しない場合は、表面の撥水加工そのものが摩耗して落ちてしまっている可能性があります。その場合は、市販の撥水剤を使って、新たに撥水加工を施しましょう。
撥水剤には、大きく分けて2つのタイプがあります。
- スプレータイプ:乾いた状態のジャケットに直接スプレーするタイプです。手軽で、撥水させたい部分を重点的に処理できるのがメリットです。使用する際は、ムラにならないように20cmほど離して、生地がしっとりと濡れるくらいまで均一に吹きかけます。
- つけ込みタイプ:洗剤のように、水に溶かしてジャケットをつけ込むタイプです。ウェア全体をムラなく加工できるのが特徴です。洗濯後の濡れた状態のまま処理できる製品もあります。
どちらのタイプを使う場合も、必ず製品の説明書をよく読み、記載された手順に従ってください。また、撥水剤を使用する際は、成分を吸い込まないよう、必ず屋外などの風通しの良い場所で行いましょう。撥水処理をした後も、乾燥機やアイロンで熱を加えることで、撥水成分が生地にしっかりと定着し、効果が高まります(これも製品の指示に従ってください)。
シーズンオフの保管方法
レインジャケットは、意外とデリケートな衣類です。特に長期間使わないシーズンの保管方法を間違えると、生地の劣化を早めてしまうことがあります。
保管前には、必ず汚れを落とし、完全に乾かしてからにしましょう。汚れたまま放置すると、カビやシミ、生地の劣化の原因になります。高温多湿な場所は避け、クローゼットなど風通しの良い場所に保管してください。
保管方法は、ハンガーにかけて吊るしておくのが最も理想的です。購入時についてきたスタッフサック(収納袋)に入れたまま長期間保管すると、強いシワや折り目がついてしまい、その部分のメンブレンが剥離したり、コーティングが傷んだりする可能性があります。スタッフサックは、あくまで持ち運び用と割り切りましょう。もし畳んで保管する場合は、できるだけ折り目がきつくならないよう、ふんわりと畳んでおくことを心がけてください。
自分にぴったりのレインジャケットで、雨の日をもっと快適に
ここまで、レインジャケットの基本的な性能から、素材の知識、具体的な選び方のポイント、そして長く使うためのお手入れ方法まで、詳しく解説してきました。
たくさんの専門用語やチェック項目があって、少し難しく感じられたかもしれません。しかし、大切なのは、「自分がどんな場面で、どんな風に使いたいか」を明確にすることです。それが決まれば、「防水性はこれくらい必要だな」「動きやすさ重視だから透湿性は高いほうがいいな」「街で着るのがメインだからデザインも大事」というように、自分だけの「選ぶ軸」が自然と見えてくるはずです。
レインジャケットは、決して安い買い物ではないかもしれません。だからこそ、この記事でご紹介した知識を総動員して、じっくりと自分に合った一着を選んでみてください。信頼できるパートナーのようなレインジャケットがあれば、これまで憂鬱だった雨の日が、少し違って見えてくるはずです。両手がふさがらない自由さ、風にも負けない安心感、そして汗をかいてもムレにくい快適さを、ぜひ体感してください。
この記事が、あなたのレインジャケット選びの一助となり、雨の日のお出かけがもっと楽しく、快適になるきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。

